特定建築物の定期報告と外壁全面調査の周期について
2025.10.16
建物の安全を長期的に維持するためには、法令に基づいた定期的な点検と調査が欠かせません。建築基準法では「特定建築物」に該当する建物に対し、建築基準法第12条に基づく定期報告(いわゆる12条点検)と、外壁の全面調査を義務付けています。
建築基準法第12条点検(定期報告)
12条点検は、建物の構造・避難・防火などの安全性を確認するために行う法定点検です。この点検は建物の用途によって周期が異なり、
- 劇場、百貨店、病院、ホテルなど不特定多数の人が利用する建物では、1年に1回
- 事務所や共同住宅、工場などでは、3年に1回
の実施が必要です。この定期報告は、建物の所有者や管理者が専門技術者による点検を受け、その結果を特定行政庁に報告することで、建築物の安全性を継続的に確保する制度です。
外壁の全面調査
外壁タイルやモルタルの剥落事故を未然に防ぐため、国土交通省は平成20年の通知により、竣工または前回の全面調査から10年を超えない期間ごとに外壁の全面調査を実施することを求めています。
これが、いわゆる「10年ごとの全面打診調査」です。調査では外壁の浮きや剥離を確認するため、従来は仮設足場を組んで打診を行う方法が一般的でしたが、近年ではドローンに赤外線カメラを搭載し、非接触で広範囲を効率的に調査する方法が注目されています。
ドローン赤外線点検では、外壁の温度差を可視化することで、浮きや剥離の可能性がある箇所を短時間で把握できます。また、調査データを記録として残すことで、次回の10年点検時に比較検証が可能となり、修繕計画の立案にも役立ちます。
まとめ
建物の安全維持に関する法定周期は、
- 定期報告(12条点検):建物の用途に応じて 1年または3年ごと
- 外壁の全面調査:竣工または前回から 10年ごと
これらの法定調査を確実に実施することで、建物の長寿命化と事故防止につながります。弊社では、ドローン赤外線技術を活用し、従来の方法よりも安全かつ効率的な外壁調査を実現しています。
参考文献
- 建築基準法 第12条(定期報告)
- 建築基準法施行規則 第16条の2(特定建築物の報告周期)
- 国土交通省 住宅局建築指導課 通知
「建築物の定期報告制度における外壁の調査について」
(平成20年2月7日 国住指第2825号)